子牛の骨のローストから始めるビーフシチュー
日本の洋食店でよく見かけるドミグラスソースですが、フレンチレストランなどではまず見ることがありません。
完成度が高いソースゆえ、「ドミグラスソースに頼っていてはフランス料理の発展はない」としてフランス料理では事実上禁止されているらしいです。
ドミグラスソースというのはそれだけ完成度の高いソースであり、ケチャップやソースを混ぜれば出来るなんて生やさしいものではありません。
日本ではフォン・ド・ヴォーから作るのが主流で、このフォン(だしの意)も作るのに数日かかります。
フォン・ド・ヴォーにブラウンルゥを加えたのがドミグラスソースであり、今回はこのドミグラスソースに子牛のすね肉を加えてビーフシチューにします。
ちなみにヴォーは子牛の意ですので、フォン・ド・ヴォーは「子牛を使っただし」という意味になります。
まず子牛の骨の処理から始めます。
こちらは通販で購入した冷凍の骨。
200度に熱したオーブンで焼き色をつけるように焼きます。
ただし焦がしてはいけません。

牛すじ肉1キロをフライパンで、やはり焼き色がつくまでにローストします。
やはり焦がしてはいけません。
焼き終わったらフライパンにへりにこびり付いた「旨み」を水でこそげ取っておきます。いわゆる「ディグラッセ」です。
煮出すときに使用します。

続いて香味野菜もローストします。ニンジン・タマネギ・セロリです。
やはり焼き色がつくまで炒め、焦がさないようにして最後はディグラッセします。

子牛の骨が焼けました。
寸胴に移しますが、やはり焼くときにつかった鉄板はディグラッセしておきます。

フライパンでローストしたものとディグラッセしたものすべて、輪切りにしたトマトとにんにくとブーケガルニを加えて水から煮だし始めます。
最初は強火です。

沸騰し始めたら弱火に切り替えましょう。
丁寧に灰汁を取りつつ湯を加えながら・・・・

4時間ほど煮込みました。
水も大分減り、骨からは肉が落ちてる状態で、ゼラチン質もスープに溶け込みはじめています。水を足して、あと4時間灰汁を取り続けます。

8時間経過、漉しとりました。
これがだし汁、フォン・ド・ヴォーです。
こちらは比較的雑味のない1番だしですが、今回はさらに旨みたっぷり・雑味少々の2番だしを作ります。

先ほど漉しとった材料にトマト・ニンジン・たまねぎ・セロリを追加して同じように煮込みます。
今回はシチュー用に用意した牛すね肉(ブロック)から削げ落としたスジ肉もありますので、これも加えあります。

4時間経過、漉しとりました。
1番だしより色が濃いのがわかりす。
スジ肉に正体はなく、骨も髄まで出きっています。香味野菜も含め、すべて生ゴミになりました。

1番だしと2番だしを合わせて完成したフォン・ド・ヴォー。
少し煮詰めて完成としますが、煮詰めるついでに牛すね肉を入れて下ゆでしておきます。

小麦粉とバターを炒めてブラウンルゥを作ります。
香ばしくなるようにしっかり炒めますが、やはり焦がしてはいけません。
気をつけて炒めます。

フォンにブラウンルゥとマデラ酒を投入し、5時間ほど煮込んだのがこの状態。
途中、塩で味を調えています。
牛すね肉は下ゆで理済みですので、食べやすい大きさに切ったこのタイミングで入れます。
完成まであと少しです。

さらに2時間ほど煮込み、ついに完成しました。

盛り付けるとこんな感じになります。
フォン・ド・ヴォーもドミグラスソースも結構な手間暇がかかっているのです。洋食店のビーフシチューが異様に高いのも納得して貰えると思います。

おいしそうに見えますか?
実際とてもおいしいんです。
・・・・間違っても「ケチャップとソースと赤ワインでお店の味」などと言ってはいませんよ。
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